(4) 年金額の計算方法

<相談-8> (障害基礎年金2級の計算)
相談:高校生の時に心療内科を受診して統合失調症の診断をされました。病院に継続して通院しています。就職しても長続きせず、短期間の就職と退職を繰り返していました。25歳の時に医師から休職を指示されて、現在はほとんど引きこもり状態です。身の周りのことは全て母親に任せています。障害年金の申請をしようと思いますが、私の場合、年金はいくらもらえるようになりますか?


回答:初診日は高校生の時です。障害の程度が2級なら、20歳前の障害基礎年金2級となり年額で約78万円です。実際は偶数月の15日に、約13万円ずつ振り込まれます。障害の程度が1級なら、2級の1.25倍になり、年額が約97万5,000円です。※年金額は毎年わずかに変化するため、全て約何円と書いています。

<相談-9> (障害厚生年金2級の計算)
相談:35歳のサラリーマンです。22歳で大学卒業後、ずっと同じ会社に勤めています。33歳の時に厳しい上司の部署に異動になりました。人間関係のトラブルとパワハラでうつ病を発症して退職しました。パートで働く妻と小学生の子供が2人います。2級を取れれば、年金額はいくらになりますか?


回答:障害厚生年金2級以上なら、同級の障害基礎年金も一緒にもらえます。障害基礎年金2級で、約78万円に2人の子の加算が約44万9,000円です。障害厚生年金2級は、22歳の厚生年金加入時から障害認定日(33歳の初診日の1年6カ月後)まで納付した保険料を元に計算した年金額(この方は約43万円でした)に、配偶者の加給年金約22万4,500円が加算されます。全部合計で年額で約188万3,500円です。(月額約15万7,00円)障害年金2級以上には、障害基礎年金で子の加算がつき、障害厚生年金で配偶者加給年金が加算されます。(この場合配偶者の年収が850万円以下で、65歳まで加給されます)

 
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(5) 障害認定日とは?

<相談-10>

質問:障害認定日とは何の日ですか?


回答:障害年金における障害の程度は初診日から1年6カ月後の状態で判断します。これを障害認定日といいます。1年6カ月前でも、ケガや病気が治癒した日。(良くなった日ではなく、病気やケガがこれ以上良くも悪くもならない、症状固定の日)が認定日です。

<相談-11>

質問:認定日請求事後重症請求の違いについて教えてください。


回答:認定日に本来の認定を行いますが、精神障害の中には初診日から1年6カ月後の認定日には未だ認定基準に達しておらず、さらに年月を経て初めて認定基準に達する障害もあります。障害の基準に達してから、初めて申請する事を事後重症申請と言います。認定日請求は認定日の翌月から年金受給権が発生しますが、事後重症請求は申請日の翌月から受給権が発生します。認定日請求は、初診証明と認定日後3カ月以内の診断書と現在の診断書があれば何時になっても申請できます。例えば、障害年金の存在を知らず、認定日から何年も経って申請を行い、全ての要件を満たして認定されれば認定日に遡って年金がまとめて支払われます。しかし、仮に10年前まで遡って受給権が発生しても、請求時効が5年間のため、最大5年分が支払われます。

 

(6) 診断書作成のポイント

<相談-12>

相談:診断書を書いてもらう時に気をつける事は何ですか?

回答:相談-7で説明したように、障害認定で重視されるのは「精神障害ガイドライン」で示された日常生活能力です。どんなに自宅でできないことが多くても、それが医師に伝わらなければ診断書に書いてくれません。結果として低い等級になってしまいます。年金事務所でもらってきた診断書の用紙を医師に渡して「書いてください」と言うだけは一番してはいけないことです。

アドバイス
大事なことは「日常生活能力の評価で使われる7つの場面で、それぞれ何ができないか」を具体的に紙に書いて医師にきちんと伝えることです。項目ごとのチェックボックスに丸を付けて渡すだけでもいけません。その項目で聞かれている不自由さについて、どう答えればより事実が伝わり、重い障害と診断されるかです。率直に言えば、評価平均で高い点数になり、評価の程度でも(3)が(4)になるかです。患者本人がこれを上手に医師に伝えるのは難しいため、専門の社労士が最も力を発揮できる場所です。医師が精神障害の診断書を作成する時の記載要領をリンクします。詳細を知りたい方はこれをお読みください。

<相談-13>
相談:病院で受け取った診断書が封緘されています。年金事務所に提出する前に開封しても良いのでしょうか?


回答:必ず開封してください!診断書の内容確認はとても重要です。①記載内容に大きな漏れや記載ミスはないか?②障害の状態が認定基準に達しているか?を確認し、③年金の不支給決定や、更新に備えて診断書のコピーを取ってから申請しなくてはいけません。病院のカウンターでいきなり開封するのではなく、外に出たら直ぐ開封し内容確認して、修正の必要があれば病院に申し出ます。

 

(7)病歴・就労状況等申立書

<相談-14>

相談:病歴・就労状況等申立書を書くのがとても大変です。間違えて修正するのも手間がかかりますし、枠内に納めるため、文章の長さを調整するのも難しいです。


回答:申立書は作文にように書くのではなく箇条書きにすれば、まとめ易くなります。パソコンでエクセルが使える人なら、手書きにせずエクセルを入手することでかなり容易に作成することができるようになります。しかし、精神障害の人があの大きな両面の申立書を見ただけでストレスになって書けないこともあります。そういう時に社労士に委託すれば、社労士の質問に答えるだけで申立書をまとめてくれます。

<相談-15>
相談:私は発達障害ですが病歴・就労状況書等申立書はいつから書き始めれば良いのですか?発症から初診日前日までを一番上の枠に書けば良いのですか?


回答:いいえ、違います。発達障害は先天性疾患 のため、出生から書き始めます。出生からと言っても、大人になるまでは、①出生から修学前、②小学校、③中学・高校、④大学をひとつの枠に分けるようにします。同じ先天性障害でも、知的障害ではもっと短い期間に分けて書きます。

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(8) 申請から決定まで

<相談-16>
相談:診断書ができあがったら、すぐに年金事務所に提出すれば早く年金をもらえますか?


回答:それは間違いです。年金申請する前に診断書内容は必ず社労士の無料電話相談などでプロにチェックしてもらってください。特に、日常生活能力がきちんと診断書に反映されているか?どうかが大切です。申請して不支給になってから、診断書を医師に書き直してもらっても基本的に認められません。提出前にしっかりチェックすることこが不可欠です。

<相談-17>
相談:年金申請を全て個人でするのと、社労士に委託する違いは何ですか?


回答:個人で申請する場合は、年金事務所に相談日を電話で予約(約1か月後)することから始めます。自分ですべて行えば、社労士に報酬を支払わずに済みますが、大きな失敗をする可能性があり、何度も年金事務所に相談することが前提になります。

ワンポイントアドバイス

社労士に委託するメリットは「手間のかかる申請を代わりにやってもらう」ことより「認定されて年金をもらえる可能性がアップする」「申請までのスピード」です。障害基礎年金2級を45歳の時から受給できれば、年間約78万円でも、65歳までの合計では1,500万円以上になります。個人が申請する場合は、一般に年金事務所に4~5回ほど通い、半数の人が認定されると言われています。年金事務所の予約に1か月程度かかることを考えれば、最初に電話してから3か月程度で申請まで行ければ良い方でしょう。専門の社労士に委託して、事後重症請求を2カ月間早く申請して受給できれば、社労士に払う成功報酬(一般に2カ月分)と同額になります。

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